ファイナル・カット
SFサスペンス。近未来、人々の脳には生涯の出来事を記憶できるチップ“ゾーイ”が埋め込まれ、死後に取り出して追悼会で上映していた。チップの編集者・アランは大企業社長の未亡人から、ある依頼を受けるのだが…
ライフログ(参照)というものに関心が集まる現代。この映画は地味ではあるが、その行く末を暗示しているのかもしれない。
チップの記録と自分の記憶とが違っていてショックを受ける遺族が居たり、チップの不具合から起きる、夢と現実の混合で美しい映像が記録されたりという細かい演出に感心する。何より、この地味な役にロビン・ウィリアムズを起用したことが素晴らしい。
監督オマール・ナイームは、これ以外の作品を撮っていないのかな?
Self-Reference ENGINE (文庫)
著者による驚異のデビュー作、2篇の増補を加えて待望の文庫化!
プロローグ+オリジナル18篇+追加2篇+モノローグ、22の独立した短篇から成り、それぞれが全体の大きな世界観を作り上げる。その構成、奇抜な発想は星新一を思わせる。
読み始め、なんだこれ!?と戸惑った。回りくどく難解で冗長に思える言葉の羅列。この物語は何を伝えたいのか、自分はちゃんと理解できているのか、不安を抱えながら読み進めた。そのうち想像力や好奇心をかきたてられ世界にのめり込んで行けた。読後感は素直に面白かった。物語のネタはどこかで見聞きしたようなものが多いが、それを言葉でいじくりまわすことで良い作品に仕上がっている。
紹介文
彼女のこめかみには弾丸が埋まっていて、我が家に伝わる箱は、どこかの方向に毎年一度だけ倒される。老教授の最終講義は鯰文書の謎を解き明かし、床下からは大量のフロイトが出現する。そして小さく白い可憐な靴下は異形の巨大石像へと挑みかかり、僕らは反乱を起こした時間のなか、あてのない冒険へと歩みを進める
言葉遊びを楽しむ一冊。
宇宙旅行はエレベーターで
軌道エレベータ、または宇宙エレベーターに関する一般向けノンフィクション。ケーブル部分がたった1400トン。打ち上げ時のスペースシャトルより軽いのだたったの100億ドル、1兆円である。本州と四国を結ぶ橋一本分で出来てしまう。Science FictionではなくScience Factな本。
宇宙エレベーター
「宇宙旅行はエレベーターで」と比べ、こちらは宇宙エレベータをエサとしてScience Fictionに突き進む。科学と想像力の限界まで挑むのでかなり面白い展開になる。素晴らしい本でした。
その他。今月は読書メモを久しぶりにポストした。
アイの物語
SF。人類が衰退しマシンが君臨する未来。ひとりの青年と美しきアンドロイドがつむぐ物語。読みやすくて面白い。ちょっと軽すぎる。
ハッカーと画家 コンピュータ時代の創造者たち
名著。再読。コンピュータエンジニアの鉄板本。熱い気持ちになるよなー。
未来形の読書術
平均的な内容。すでにWeb上で多くの誰かが語っている。
ちょいデキ!
いまいち。ガツガツ上を目指すだけではない、淡々と目の前にある仕事をこなす道もある。ひまつぶし、頭のリラックス程度に。
モテたい理由
だめ。表題と内容が違う。赤坂真理さんのエッセイ。
ケータイチルドレン 子どもたちはなぜ携帯電話に没頭するのか?
面白い。若者+ケータイ=悪、なんてことは書いてない。かなりのデータを裏づけとして、ケータイを見極めようとする本。大人(年寄り)は、ケータイというたったひとつのツールがあるだけで、若者に偏見を持ってしまう。人の本質なんて短期間にそうそう変わるものではない。
「ザ・ロード」を読む。ピュリッツァー賞作品。
帯でも、多くの読書ブログでも、Amazonのレビューでも、とにかく読め!とばかり。読みました。読み始めたら止まらなかった。そして僕も、とにかく読め!と言おう。
道は進むからこそ道であり、進まずに立ち止まった時そこは終点でしかない。なぜ世界はそうなってしまったのか?小説の主題はそこになく、父子の歩みについてだけ書かれている。力強い物語と向かい合うには力がいる。この本を読むことは、同時にこの父子と道を進んでいる錯覚を起こさせる。そして詩的に描かれる情景、心情に触れるたび、心が動かされた。
終末SFものと言われることが多いようだが、終末劇の終わった後にあるヒューマンドラマ。傑作。
「カール・セーガン 科学と悪霊を語る」を読む。
あえてカテゴリをSFとしておこうか。
似非科学、懷疑主義、宗教とは信じること、科学とは疑ってみること…いろいろ考えたが、まだ右往左往。アメリカ版の大槻義彦教授と思えばとっつきやすいかも(失礼か?)。宗教と科学に相対主義は成立するか?とか、考えすぎ、俺。
映画「コンタクト」が大好きでDVDで観なおすことが多い。導入部のリアリティ溢れる緊張感、宗教観・人生観などを折り混ぜた奥の深いドラマ、神秘的な結末、美しい映像、何よりジョディ・フォスター(Love)がお気に入り。
ふと原作を読んでみようと思った。古本で買う。
「コンタクト(上)」
「コンタクト(下)」
冒頭からしばらく主人公エリーについて詳しく描かれるのだが、映画(ジョディ・フォスター)とは設定がやや違い、印象は随分と変わる。おかげで何度も観返している映画による先入観を払拭して読むことができた。
内容は映画より格段に濃い。著者カール・セーガンは天文学者であり、作家であり、そして啓蒙家であることが良く判った。人とは何か、神とは何か、万物=物理は神によって創造されていて、それを探求することで神の愛を理解することができる。人と神の関わりは科学的に証明できるのだ。そんなメッセージを感じた。
…こう書くと啓蒙思想本っぽいかな?いやいや、SFとしての魅力にも溢れた感動的な作品でした。
映画では省かれた解説も多く、より深く「コンタクト」という作品が理解できた。映画、小説共に楽しむのがお薦め。ラストの円周率の計算は圧巻!